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大阪地方裁判所 平成4年(ワ)2703号 判決 1992年6月04日

大阪市西成区山王一丁目九番七号

原告

北畑静子

大阪市西成区山王一丁目九番七号

原告

北畑實

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

被告

右代表者法務大臣

田原隆

右指定代理人

竹本健

中村悟

藤井昭夫

福住豊

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一請求

一  被告は、原告北畑静子(以下「原告静子」という。)に対し、七二万二〇二八円及びこれに対する平成三年八月一六日から支払済みまでの年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は、原告北畑實(以下「原告実」という。)に対し、二八七五円及びこれに対する平成三年八月一六日から支払済みまでの年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  本件は、原告ら各自が、物品を購入するに際し、代金とともに支払った消費税額相当分につき、被告が法律上の根拠もなく不当に利得したとして、被告に対し、その返還を求めた事案である。

二  原告らが支払ったと主張する消費税額当分は次のとおりである。

1  原告静子関係

(一) 平成二年五月二〇日 一一万五三二〇円

(二) 同年六月四日 七万七四一〇円

(三) 同月二一日 四万三四一〇円

(四) 同年七月二〇日 一五万一九五〇円

(五) 同年九月二一日 六万二〇一〇円

(六) 同年一〇月三日 二万三九四〇円

(七) 同月一二日 六万七一一〇円

(八) 同月二二日 七万四一六八円

(九) 同月一一月二一日 一〇万六七一〇円

合計 七二万二〇二八円

1  原告実関係

(一) 平成三年三月一五日 一四四〇円

(二) 同年四月一日 一四五円

(三) 同年五月二三日 一二九〇円

合計 二八七五円

三  原告らが被告の利得は法律上の根拠を欠くと主張する理由は次のとおりである。

1  原告らが右のとおり消費税相当額を支払った物品(以下「本件各物品」という。)は、すべて古物営業法一条一項にいう「古物」であって、このような「古物」については、消費税を賦課すべきではない。また、古物営業法は、消費税法上の条項にいう消費税を免除する旨の「その他の法律」に当たり、古物営業法上の「古物」については、消費税は免除されるべきであり、その課税は違法である。

2  本件各物品には、すべに物品税法(昭和六三年一二月三〇日法律第一〇七号による廃止前のもの。)に基づく物品税が賦課されており、さらに消費税を賦課することは、二重課税になり、租税法律主義に違反し、違法である。

第三判断

一  仮に、原告らが、国内において本件各物品を購入するに際し、売主に対し、消費税額相当分を支払い、またこの消費税額相当分について、被告が消費税として徴収し、さらに、原告らの右消費税相当分の支払と被告の右消費税徴収との間に因果関係が存在するとの前提に立ったとしても、被告による消費税の右徴収は、法律上の原因を欠くことの原告の主張(第二の三の1、2)は、以下のとおり失当であって、不当利得には当たらない。

1  第二の三の1の主張について

消費税法上、古物営業法一条一項にいう「古物」について消費税を賦課しない旨の規定は存しない。また、古物営業法にも、同旨の規定はなく、同法が消費税法上の条項にいう消費税を免除する旨の「その他の法律」にはあたらないことは明らかであり、そのほか、古物営業上の「古物」について消費税を免除する旨の法律の規定は存しない。さらに、消費税の性格上、明文の規定がなくとも、古物営業法上の「古物」については、消費税を賦課すべきでないと解する根拠も見い出し難い。

2  第二の三の2の主張について

本件各物品に対しすでに物品税が課されていたとしても、原告らと売主との間で「資産の譲渡」がなされ、そこに新たな担税力が認められる以上、消費税が賦課されるのは当然のことであり、そのことをもって、二重課税であるので違法であるとか租税法律主義に反するということはできない。

二  したがって、原告らの請求は理由がない。

なお、原告らの請求が、不法行為に基づく損害賠償を請求する趣旨を含むものであったとしても、前記のとおり、被告は消費税法に基づく消費税の徴収には何ら違法な点はなく、いずれにしても原告らの請求は認められない。

(裁判長裁判官 福富昌明 裁判官 森義之 裁判官 西田隆裕)

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